野心と欲望が渦巻く街、中洲。今夜も人生を賭した挑戦者と、夢破れた敗走者が交錯する。そして、札束を握りしめ、ある店の前に男達が辿り着いた。
店の名は「中洲ちんや」
そう、すき焼きである。

店構えを見ての通り、もともと精肉店を営んでおり、言わば肉のプロフェッショナルだ。
そんな店のすき焼きがうまくないはずがない。
座敷に着席して、早速でてくるのは、お通しである「酢もつ」。肉の前にこういうさっぱり系が頂けるのは嬉しい。

この店、卵にも手は抜いていない。
黄色い。濃い。真ん丸い。これがこれから肉とのハーモニーを奏でるのか。もう我慢ならん。

そして、いよいよ肉の登場である。
見よ、このツヤ!!このサシ!!九州産黒毛和牛に拘り、ほど良く脂がのって輝いている。
この肉を仲居さんが目の前で丁寧に調理してくれる。味付けは砂糖と醤油のみ。ほんのり赤身を残した肉を、卵に潜らせて、いざ、いただきます。



当然、うまい。
こうなる事は分かっていた。分かっていたはずだが、味覚のリアクションは正直すぎる。とろけるような食感と、ジューシーかつ上品な脂のおかげで米をかき込む箸が止まらない。
きっと、様々な中洲の猛者達がこの味を噛みしめて夜の街に消えていったのだろう。
そんな想いを巡らせていたら、あっという間に鍋の肉も消えてしまった。非常に美味しかった。
いい夢を見させて頂きました。
店名:中州 ちんや (お店のWEBサイト)
場所:福岡県福岡市博多区中洲3丁目7−4 (googleMAP)
投稿者:D.T