今回が私にとって最後の沖縄訪問となる。
よって、思い出になるディープな沖縄フードを食べようと思った。
そこで思い浮かんだのが、そう、「山羊汁」である。
山羊汁が食べられる店を情報収集した結果、那覇市内にハイウェイ食堂という定食屋がそれを取り扱っている事が判明し、早速来店。
完全な私の思い付きの行動であったが、沖縄担当後任である部下Nもついてきてくれた。
彼にとってトラウマにならなければ良いが・・・
店内は食券を買うシステム。
当然、私は「ヤギ汁」(ご飯付)を購入。
Nもそれに倣った。
なかなか律儀な男である。
少々待ち時間があった後、「それ」はきた。
臭い。
話には聞いていたが、臭い。
器の中には山羊のものと思われる肉と、大量のフーチバー(沖縄よもぎ)が投入されている。
しかし、視覚よりも嗅覚が先に反応してしまう。
臭い。
意を決して、口に入れると・・・!!
動物園の匂い。
確か、事前情報で見たブログでも誰かが言っていた。
まさにその通りの匂いが口から鼻に抜けていく。
これはとんでもないものに手を出してしまったのかもしれない。
後悔の念が込み上げる。
しかし、向かいの席のNを見ると、抵抗なく箸が進んでいる。
彼は言った。
「ブルース・ウィリスも言ってたでしょ。Don’t thinkですよ」
・・・おまえ、そりゃ、ブルース・リーだ。。。
しかし、ツッコむ気さえ起こらない。
目の前の獣臭を何とかせねば。
そこで山羊汁のプラスの面を考える事にした。
沖縄では祝の料理とされ、非常に縁起のいい食材らしい。
もぐもぐ。
おまけに滋養強壮料理だから、体にもいい。
もぐもぐ。
よく味わってみたら、フーチバーとの相性もばつぐ・・・っふ!
・・・完全に箸が止まってしまった。
今一度、Nを見てみると、何と具材をきれいに完食しているではないか!!
彼は言った。
「昔から頼んだものは残さない性格なんで」
・・・言っている事は立派だが、何か腹立ってきた。
入店前にNのトラウマ化を心配していた自分が馬鹿馬鹿しくなる。
こいつには負けたくない。
そんな気持ちが湧き上がってきた。
しかし、器から立ち上る獣臭がその決意を打ち消そうとする。
すると、嗅覚と味覚の負担が大きく、思考回路がやられたのだろう。
脳内変換(現実逃避)が発動した。
俺は、ライオンだ。
腹をすかせたライオンだ。
山羊を喰らって、文字通り弱肉強食を体現するのだ。
獣の如く必死でかき込み、何とか完食!!
・・・と、思ったが、ふと疑問が湧く。
「汁」が残っている。
「山羊汁」の具材のみ食べただけでは、それはただの「山羊」であり、「山羊汁を食べました」とはならない。
むしろ、山羊のエキスが溶けだした、このスープこそ山羊汁の証ではないか?
ちらっとNの器を見ると、彼はスープは残す様子だ。
これだ!!一筋の光明を得た。
逆転のチャンスである。
ライオンの次は、カメだ。
少しずつでも、汁まで全てたいらげ、目の前のウサギを出し抜いてやる。
ここまで来ると、山羊への対応策も思い浮かぶもので、
沖縄伝統調味料「コーレーグス(島唐辛子の泡盛付)」を残り汁に大量に投入した。
非常に辛い味付けで上塗りするのは反則かもしれないが、仕方あるまい。
時間をかけて、最後の汁まで完全食破!!
これで上司の威厳は保たれた。
しかし、食後、すぐにコンビニにアイスを買いに行った事は言うまでもない。
もう、おそらく食べる事はないだろう。
【注意】沖縄では、山羊汁のこの匂いこそが食欲をそそるという強者もおり、
また、観光客向けに、臭みの少ない山羊汁を出してくれる店もあります。
店名:ハイウェイ食堂
場所:沖縄県那覇市前島2丁目3−6(googlemMAP)
投稿者:営業員Ⅹ